专利摘要:
本発明は、適切なin vitro細胞及び組織構築物、又は哺乳動物で免疫系の組織を模倣するためのそれらの同等物を含む統合人工免疫系を構築する方法に関する。人工免疫系は、in vitroでワクチン候補物質及び他の材料の有効性を試験するのに使用することができ、このため疾患モデルと相まって、ワクチン開発及び薬物及び免疫系との化学的な相互作用の試験を加速させ、免疫応答のより完全な提示を提供するのに有用である。なし
公开号:JP2011516039A
申请号:JP2010550656
申请日:2008-03-12
公开日:2011-05-26
发明作者:ウィリアム;エル. ウォーレン;ガズマン サンチェス−シュミッツ;サントッシュ パワル;ラッセル;ジー. ヒグビー;ヘザー ファーレンカンプ;エリック;エム. ミシュキン;マイケル;ディー. リヴァード
申请人:ヴァックスデザイン コーポレーションVaxDesign Corporation;
IPC主号:C12N5-071
专利说明:

[0001] 本発明は、ワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質(biologics)及び他の化学物質のin vitro試験のために人工ヒト免疫系と共に使用され得る疾患モデルを開発する方法に関する。本発明の疾患モデル及び人工免疫系は、疾患の発症と、疾患に対するワクチン、薬物、生物学物質、免疫療法剤及びアジュバントの効果とを評価するのに有用である。ワクチンとの関連で、例えば本発明の疾患モデル及び人工免疫系は、疾患の作用因子によるin vitroでのチャレンジ(challenge)によりワクチンの有効性を予測するのに使用することができる。本発明の疾患モデル及び人工免疫系を、健常な(疾患を患っていない、非感染、ナイーブ)個体、又は疾患若しくは感染を患う個体由来の細胞を使用して調製することができる。「疾患細胞」には、ウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞及び腫瘍細胞、並びに病原体により罹患された、又は例えば自己免疫疾患等の免疫媒介性疾患に関与する細胞及び組織が含まれる。本発明の実施の形態は、ワクチン及び薬物の開発の精度及び予測可能性を加速及び改善するのに使用することができる。]
背景技術

[0002] ヒトの薬物及びワクチンの開発及び生物学的試験は伝統的に、早期では小動物モデル(例えばマウス及びウサギモデル)、及びその後後期ではより大きい動物、例えばイヌ及び非ヒト霊長類に依存している。しかしながら、疾患の動物モデルは多くの場合ヒト疾患状態の近似でしかなく、動物モデルが全く利用不可能なこともある(例えば、ヒトにしか感染しない病原体)。このため疾患の動物モデルは、ヒト研究における転帰を正確に予測することはできず、又はこのような予測をするのに利用不可能であり得る。]
[0003] ヒト免疫学、例えば病原体に対する免疫応答、又は乾癬のような有害な炎症応答を伴う疾患の場合、主な課題は依然として動物試験系からヒト免疫学への移行(translation)にある。従来の試験系とヒト生物学との間の移行の成功には、疾患の発症の緻密な(intricate)理解と、全てのレベルでの免疫応答とが要求される。このため、疾患状態との関連でヒト免疫応答を刺激するのにヒト免疫細胞を使用するシステムに対する必要性が存在する。]
[0004] 本発明は、免疫系を伴う疾患(例えば、病原体応答、自己免疫疾患、癌応答)に対するワクチン、アジュバント、薬物又は他の作用因子の有効性を予測するために、「試験管での臨床試験」を実施する能力を本質的に提供するための疾患モデルによる人工免疫系(AIS)の使用を含む。図1は、AISと疾患モデルとの統合の例を概略的に示す。例としては、概略的に、VSで感染又はワクチン接種が起こり、LTEで免疫誘導が起こり、疾患モデルで疾患に対して免疫応答が起こる。] 図1
[0005] 本発明のモデルは、免疫系細胞を伴う疾患及び感染を検査するのに特に適している。例としては、HIV、結核症、野兎病、フィロウイルス(filoviruses)、エルシニア属及びバークホルデリア属が挙げられる。本発明のin vitro疾患モデルを基礎疾患の発症を理解するのにも使用することができる。本発明の人工免疫系には3つのモジュールが含まれる:第1に先天性免疫応答を刺激し(ワクチン接種部位(VS)モジュール)、第2にin vitroでのT細胞応答及びB細胞応答の検出のために適応免疫応答を刺激し、リンパ節内での免疫細胞の相互作用に関するモデルを提供して(リンパ系組織同等物(LTE)モジュール)、第3のモジュールは、代理マーカーを使用するよりも直接的に疾患、例えばインフルエンザ、鼻疽、野兎病、結核症、エボラ、マールブルグ病、ペスト又はAIDSに対する免疫応答の効果を測定するため、例えば病原体又はヒト組織と共に、他の2つのモジュールの産物を使用する機能アッセイ又は疾患モジュールである。これらの人工免疫系モジュールは、ヒト身体に存在する状態、例えば様々な免疫細胞の空間的分離、及び異なる時点で異なる免疫細胞を接合させる時間的力学を再現する。LTEが効果的に疾患モデルとなるように、免疫誘導及び免疫応答の両方のためにLTEを使用するというような他の変更が可能である。]
[0006] 本発明の疾患モデル及び人工免疫系は、健常な(疾患を患っていない、非感染、ナイーブ)個体、又は疾患若しくは感染を患う個体由来の細胞を使用して調製することができる。「疾患細胞」には、病原体感染細胞、例えばウイルスに感染した細胞及び細菌に感染した細胞、腫瘍細胞、並びに病原体により罹患された、又は例えば自己免疫疾患等の免疫媒介性疾患に関与する細胞及び組織が含まれる。]
[0007] 例えば、本発明の疾患モデルとしては、ウイルスモデル(例えば、単純ヘルペスウイルス、A型肝炎ウイルス、B肝炎ウイルス、C肝炎ウイルス、VSV、HIV、ワクチニアウイルス、インフルエンザウイルス)、腫瘍モデル(例えば、メラノーマ)、及び自己免疫モデル(例えば、RA、糖尿病、乾癬、クローン病)が挙げられる。]
[0008] 前臨床試験プログラムの主な目的は、臨床開発前の新規のワクチン又は薬物作用因子に関する潜在用途の早期特定により、患者の転帰を改善することである。in vitro試験の取り組みを確立するための前提は、臨床的利点に対する見込みが増大した臨床評価に関する候補の選択が可能であることである。明らかなことに、このことは、in vitroシステムがワクチン又は薬物に対するヒト応答、及び対象となる疾患に対するワクチン又は薬物の有効性を予測するものとなることが必要となる。効果的な且つ予測的な前臨床試験プログラムなしでは、効果的ではないワクチン及び薬物が選択されて評価される可能性が高く、このため転帰を改善する上で進行が遅くなる。さらに、予測的であるin vitro試験系(「試験管における臨床試験」)を有することが、ワクチン又は薬物試験に関連する損失機会費用(lost opportunity costs)を有意に削減する。すなわち、候補が脱落する場合は、早期に脱落すべきである。]
[0009] 疾患モデルと相まった人工免疫系の開発は、ワクチン及び薬物を試験する方法を変える可能性がある。本発明の前臨床in vitro試験プログラムは、免疫学的原理及び工学原理の両方に基づくが、臨床研究者が利用可能な複数の候補の中で見識のある優先順位付けが可能となるために、信頼性のある、予測的な且つ再現性のある情報を提供するという非常に実利的な目的を有する。明らかなことに、このことは全ての前臨床試験の目的であるが、本発明のin vitro試験系において新規的なものは、ヒト細胞が埋め込まれた(populated)機能的に同等な組織培養(tissue engineered)構築物を使用するin vitroモデルである。in vivo動物試験と比較して、本発明を含むシステムを使用するin vitro試験は費用も時間もかからず、且つ重要なことに臨床転帰をより予測するものである。]
[0010] 本発明は、ワクチン試験を加速する正確で予測的なin vitroモデルの開発に関し、これが動物又は臨床試験前にワクチン及び薬物製剤を再設計及び最適化するのに役立ち、且つワクチン又は薬物候補がヒト試験において成功する可能性を高める、より情報量があるデータの回収を可能にする。]
[0011] より具体的には、本発明は、人工免疫系(AIS)のリンパ系組織同等物(LTE、人工リンパ節)において細胞の性質及び状態を制御することを含む。AISは、動物実験よりも予測的に免疫反応性に対するワクチン及び他の調合薬を試験するのに使用することができる。結果として、AISは、研究及び開発プロセスにおいてより早期に価値のある前臨床データを提供することができる。AISに導入される抗原性分子はワクチン接種部位(VS)での樹状細胞(DC)により獲得される。それからDCがリンパ系組織同等物(LTE)へと移動し、そこでDCはT細胞に対して抗原を提示し、それらの免疫機能を活性化させる。活性化ヘルパーT細胞はB細胞を同時刺激し、抗体産生を誘導するが、活性化細胞傷害性T細胞は抗原保有細胞を溶解する。可溶化された抗原(複数可)をLTEに導入し、その後の抗体産生のためにB細胞を直接活性化することもできる。他の実施の形態では、抗原性分子ではなく病原体をAISに導入し、ワクチン接種部位(VS)でAPC、例えば樹状細胞(DC)を感染させる。他の実施の形態では、病原体をAISに導入し、LTEにある細胞を感染させる。]
[0012] 多くの公開された報告書が、(カンジダ・アルビカンス(C. albicans)、TT及び他の抗原に対する)in vitroでの抗原特異的なB細胞応答を明らかにしているが、これらの結果は典型的に、B細胞の増殖及び/又は活性化を促進するために全PBMCの培養物を抗原及び外因性因子で刺激及び再刺激することにより達成される。本発明の実施の形態は、二次元構築物アッセイにおいてB細胞、T細胞及びDC、並びに任意で濾胞樹状細胞(FDC)の規定培養物を使用する免疫応答の検出を含む。二次細胞の存在はB細胞の活性化及び分化に対するより生理学的な環境を提供し、このため培養物中の人工因子は、特異的な免疫応答を検出するのには必要とされない。]
[0013] 本発明の実施の形態を使用して、本発明者らは、T細胞、B細胞及び抗原パルスDCを含む(2D)同時培養物システムを使用して、抗原特異的なB細胞応答を発生させている。応答は、破傷風トキソイド(TT)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans(C. albicans))インフルエンザの全タンパク質抽出物、炭疽菌(Bacillus anthracis)、B型肝炎、黄熱病、狂牛病の組換え防御抗原、並びにマラリア由来のメロゾイト表面タンパク質1(MSP−1)に対して発生する。これらの結果は、in vitroでヒトT細胞とB細胞とを共に、例えば血液中で自然に見られる約1:1のT細胞とB細胞との比で培養することにより、活性化及び増殖(フローサイトメトリ)、並びに抗体産生(ELISPOT)の両方の解析によってより強い抗原応答が得られたことを示す。本明細書中で、「T細胞」には、CD4+T細胞とCD8+T細胞との両方が含まれる。末梢血中では、T細胞(総T細胞):B細胞の比は約7:1である。リンパ節では、T細胞(総T細胞):B細胞の比は約1:1.6である。胚中心では、T細胞:B細胞の比は約1:8であり、そこではT細胞は主にCD4+T細胞である。]
[0014] 三次元生物学が免疫学的な培養組織構築物(ETC、例えばEdelman & Keefer, Exp. Neurol. 192:1-6(2005)を参照されたい)の適切な機能性を誘導するのに重要であることが知られている。細胞プロセスを研究するための主要なアプローチはin vitroで細胞を培養することである。歴史的に見てこのことは、プラスチック又はガラスの支持体上で細胞を平板培養すること(plating)を伴っている。固型又はフィルター支持体上で成長させた細胞は、二次元(2D)培養物と称する。多孔性支持体上のこのような2D培養物は生物学の多くの態様を研究するのに有用である。しかしながらここでは、よりin vivo様の条件を3D培養物で実現することができる。]
[0015] リンパ節では、3D間質組織マトリクスはAPCへのT細胞移動を容易にするだけではなく、細胞間相互作用の際の運動性を支持することが分かっている。3Dコラーゲンマトリクス環境は、その空間アーキテクチャのために、リンパ球クローリング(crawling)に牽引性を与え、リンパ節皮質の幾つかの構造的特徴を模倣する。これは、本発明の人工免疫系の幾つかの実施の形態を含む構築物における3D環境の重要性を実験的に正当化している。]
[0016] また本発明は、現行のin vitro疾患モデルとは有意に異なる。例えば、単一の単層及び懸濁培養物は、ウイルス感染及び腫瘍をモデル化するのに一般的に使用される。しかしながら、このような細胞培養物は、人工性が高い(highly artificial)細胞環境を提供し、人工免疫系とは結びつかない。]
[0017] 本発明の疾患モデルには癌モデルが含まれる。歴史的に見てマウスは腫瘍の遺伝学、生理学及び治療的レジメンを研究するのに使用されているが、マウスの組織モデルには多くの制限がある。重要な差異は、ヒト腫瘍の起源が主に上皮であるのに対し、マウス腫瘍は通常上皮ではない(例えば肉腫、リンパ腫)。マウスでは発癌性である作用因子の多くはヒトでは発癌性ではなく、逆もまた同様である。発癌経路はヒトと比較してマウスではいろいろと異なる。さらに、マウスの基礎代謝率はヒトの6倍高い。新たなアプローチにより、免疫不全マウスで異種移植片の留置を調べることが上手くいってはきているが、マウスの要素は依然としてこのモデルに存在している(Ortiz-Urda et al.(2002)Nature Med 8, 1166-70)。このため、本発明のヒト細胞系モデルにおいてヒト腫瘍モデルを研究することによりこれらの種間の差異が取り除かれる。]
[0018] 界面工学及び生命工学のフラウンホーファー協会(Fraunhofer Institute of Interfacial Engineering and Biotechnology)(ドイツ)でのMertsching及び同僚による最近の研究により、in vitroでの3Dモデルが癌研究における有用なプラットフォームとなり得ることが実証され始めている。彼らは、新規の3D血管(vascularized)組織構築物を開発した。血管3Dマトリクスは内皮細胞で、その後腫瘍細胞が埋め込まれ、疾患モデルとしてex vivo血管腫瘍様構造を作製する。これらのデータは、このin vitroモデルが生理学的な薬物適用をシミュレートし、癌研究/療法のためのヒト3D試験系を提供する可能性を与えることを示唆している。]
[0019] 本発明では、このような3D腫瘍モデルを人工免疫系と併せて使用し、2D培養物における単離癌細胞ではなく、腫瘍に対する癌ワクチンの有効性を予測することができる。この区別は重要である。抗体及び免疫エフェクター細胞は疾患に影響を与えるのに十分な数、腫瘍に到達しなければならない。癌細胞へのアクセスは、細胞培養物では問題ではないが、血管腫瘍では問題となり得る。さらに、腫瘍は周辺組織が免疫寛容を誘導する因子を分泌するのを誘導し、このようにして癌ワクチンにより誘導される免疫増強に対抗する可能性がある。これらの種の効果は、人工免疫系と相互作用する腫瘍疾患モデルがなければ観察することはできない。]
[0020] 本発明の疾患モデルには病原体感染モデル(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生動物)が含まれる。本発明の実施の形態では、本発明者らは、2D培養物において細胞を使用する。他の実施の形態では、本発明者らは、3D組織培養構築物に留置された細胞を使用する。感染又は疾患細胞は、培養組織構築物中に含まれ得る。例えば、ウイルス感染した上皮細胞を組織培養皮膚又は粘膜同等物で使用することができる。別の例としては、単純ヘルペスウイルスは外胚葉向性(ectodermotropic)である(すなわち単純ヘルペスウイルスは上皮細胞で感染及び複製し(reproduce)、潜伏状態でニューロンに存在し得る)。この場合、疾患モデルはウイルス感染した上皮細胞若しくはニューロン、又はその両方を使用し、活性状態及び潜伏状態両方のヘルペスウイルス感染をモデル化することができる。本発明の他の実施の形態では、本発明者らは一次感染部位とは分離しているコンパートメントでのウイルス移動及び感染をモデル化するのに培養組織構築物を使用する。]
[0021] 例えば、HIV−1は樹状細胞(DC)により捕捉されると共に、リンパ節に送達され、そこでその後ウイルスがCD4+T細胞に伝播される。それから、リンパ節はウイルス産生の主要部位になる。本発明の一実施の形態では、ワクチン接種部位(VS)モジュールは、HIVがAPC、例えばDCに感染する感染部位であり、それから感染DCがウイルスをCD4+T細胞に伝播させるリンパ系組織同等物モジュールに置かれる。この場合、LTEは疾患モジュールとしてとして働く。集合的に、感染部位及び疾患モジュールは疾患モデルを含む。]
[0022] 本発明の疾患モデルには炎症性自己免疫疾患が含まれる。これらの疾患(例えば乾癬、間接リウマチ)では、主に免疫系自体が疾患状態に関与する。本発明の一実施の形態では、LTEは乾癬に罹患したドナーの血液から単離された免疫細胞から構築され得る。培養組織構築物は、同じドナー由来の生検皮膚から作製することができる。異なる条件下でのAISと疾患モデルとの相互作用により、疾患の発症に対する洞察を得ることができる。また、候補物質の潜在的有効性を求めるために、この疾患モデルでの乾癬に対して異なる候補物質を試験することができる。このプロセスを乾癬に罹患した多くのドナーで繰り返すと、得られる「試験管における臨床試験」が、最も多くの患者に対する最適な臨床候補物質の選択又は幾つかの候補物質の選択を容易にすることができ、これらの候補物質は、臨床的に関連のあるバイオマーカーの使用により異なる患者集団で標的となる。本発明の別の実施の形態では、疾患モデルは疾患自体ではなく、自己免疫又は炎症性疾患の一態様をシミュレートする。例えば、或る特定の炎症性疾患の重要な特質は、好中球の炎症部位への移動である。好中球移動のこのプロセスが中断され得ると、炎症性プロセスは、疾患状態に対する対応の有益な効果を伴って中断され得る。このためAISは、生じる炎症性疾患をモデル化するための代理として好中球移動をモデル化するのに使用することができる。]
[0023] HIVモデル。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はAIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こすウイルスである。本発明の一実施の形態はHIV疾患モデルを含む。in vivoで、HIV−1はDCに感染し、DCはリンパ節へと移動し、そこでウイルスがCD4+T細胞に感染する。その後、リンパ節はウイルス産生の主要部位となる。]
[0024] HIV−1による感染は、CD4+T細胞数の段階的減少及びウイルス負荷の増大に関連する。感染段階は、患者のCD4+T細胞数と、血液中のHIVレベルを測定することにより決定することができる。この急性ウイルス血症はほぼ全ての患者で、HIV感染細胞を死滅させるCD8+T細胞の活性化に、その後抗体産生に、又はセロコンバーションに関連している。CD8+T細胞応答は、ウイルスレベルの制御に重要であると考えられ、このレベルはピークを迎えた後、低下し、そのためCD4+T細胞数が約800細胞/mLまでリバウンドする(通常約1200細胞/mL)。強いCD8+T細胞応答はゆっくりした疾患進行及びより良好な予後と結び付いているが、ウイルスは排除されない。この初期の感染中に、HIVはリンパ器官内で活性化し、そこで大量のウイルスが濾胞樹状細胞(FDC)ネットワークに捕捉される。CD4+T細胞が豊富な周辺組織は、感染状態になる可能性があり、ウイルス粒子が感染細胞に、及び遊離ウイルスとして集積する。]
[0025] 野兎病モデル。野兎病菌(Francisella tularensis)はカテゴリーAの生物戦争(biowarfare)作用因子であり、生体防御研究の重要な焦点である。本発明の一実施の形態は野兎病疾患モデルを含む。野兎病菌(F. tularensis)の病原性は、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)の病原性と、両方ともマクロファージ及び樹状細胞に感染するという点で酷似している(Clemens et al.(2004)Infect. Immun. 72, 3204-17)。野兎病菌は、多くの哺乳動物が罹患する人獣共通感染症(zoonotic disease)である野兎病に関与するグラム陰性細菌であり、ダニ刺咬を介して、感染動物との直接接触により、又は汚染材料のエアロゾル化を介してヒトに伝播する可能性がある。疾患の進行及び重症度は宿主の免疫状態及び感染株に依存する。野兎病菌には4つの既知の亜種が存在する(ツラレンシス(tularensis)、ハラクーティカ(holarctica)、メディアサティカ(mediasatica)、ノビシダ(novicida))。ツラレンシスは最も感染力が強い。生ワクチン株(LVS)はハラクーティカ亜種に由来し、野兎病(tularaemia)を研究するのに広く使用される。ノビシダ亜種はヒトでは余り感染力は強くない。]
[0026] 野兎病菌はマクロファージ、樹状細胞、肝細胞及び肺胞上皮細胞に感染する。その毒性は宿主細胞内で繁殖する能力に依存する。宿主細胞に侵入すると、野兎病菌はファゴソームに取り込まれる。野兎病菌は、ファゴソームの酸性化及び成熟を妨げ(Clemens et al.(2004)Infect. Immun. 72, 3204-17)、ファゴソームから逃れ、宿主細胞の細胞質コンパートメントで繁殖する。この複製はフランシセラ属(Francisella)病原性島(FPI)として知られる遺伝子クラスターに依存する。細胞質へと逃れると、野兎病菌は、インフラマゾーム(inflammasome)を含む先天性免疫系の多くの経路を活性化し、インフラマゾームが宿主細胞におけるカスパーゼ−1媒介性アポトーシスカスケードと、同様に炎症誘発性(pro-inflammatory)サイトカイン応答との両方を誘発する(Henry & Monack(2007)Cell. Microbiol. 9, 2543-255)。IL−18、IL−1b、IFN−γ、IL−12及びTh2サイトカインIL−4及びIL−5を含むサイトカインは、野兎病菌に対する免疫応答に重要な役割を果たすことが知られている(Henry & Monack(2007)Cell. Microbiol. 9, 2543-255)。]
[0027] 野兎病菌による呼吸器感染に対する防御における抗体の役割は明らかではないが、或る研究は、呼吸器感染に対する防御のための抗体の予防的及び治療的使用を報告した(Kirimanjeswara et al.(2007)J. Immunol. 179, 532-9)。血清抗体(感染マウス由来の免疫血清)は、曝露後24時間〜48時間に与えると、致死的な呼吸器野兎病に対する完全な防御をナイーブマウスに与えることが可能であった。]
[0028] フィロウイルスモデル。フィロウイルスであるマールブルグ及びエボラはカテゴリーAの生物戦争作用因子である。本発明の一実施の形態はフィロウイルス疾患モデルを含む。フィロウイルスはエンベロープ化(enveloped)、非セグメント化(non-segmented)、マイナス鎖化した(negative-stranded)RNAウイルスである。ビリオンは、3’リーダー、核タンパク質(NP)、ビリオンタンパク質(VP)35(VP35)、VP40、糖タンパク質(GP)、VP30、VP24、ポリメラーゼLタンパク質及び5’トレーラーの遺伝子の順番で7つの構造タンパク質をコードする約19kbの非感染性ゲノムを含有する(Sanchez et al.(199)Virus Res. 29, 215-240)。再構築複製系を使用した研究は、マールブルグウイルスの転写/複製には、4つのタンパク質の内の3つ(NP、VP35、L)が必要であるが、エボラウイルスの転写/複製には4つのタンパク質全てが必要である(Muhlberger et al.(1999)J. Virol. 73, 2333-2342)ことを示している。GPはビリオンの表面糖タンパク質であり、受容体結合及び膜融合に重要である(Takada et al.(1997)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 14764-69、Ito et al.(1999)J. Virol. 73, 8907-8912)。]
[0029] これまでのフィロウイルス感染に関する調査のほとんどは、カニクイザル(cynomolgus macaques)及びアフリカミドリザルを含む非ヒト霊長類の実験的感染に由来している。フィロウイルス感染の齧歯類モデルは、候補薬物及びワクチンの有効性に関するデータを提供しているが、ヒトにおけるウイルス病原性及び免疫力を忠実に再現してはいない(Bray et al.(2001)J. Comp. Pathol. 125, 243-253、Geisbert et al.(2002)Emerg. Infect. Dis. 8, 503-507)。実際、現在のところヒトにおけるフィロウイルス感染の病態生理学に関して利用可能なデータはごくわずかである。]
[0030] エボラウイルス及びマールブルグウイルスの両方が、広範な細胞指向性を有し、宿主細胞へと侵入するのに多種多様な宿主細胞表面分子を使用する。単球/マクロファージ及び樹状細胞の感染はエボラウイルス感染の病理の中心となり(Stroher et al.(2001)J. Virol. 75, 11025-33)、これにより凝血促進タンパク質組織因子(TF)(Geisbert et al.(2003a)J. Infect. Dis. 188, 1618-1629)及び多種多様なサイトカイン/ケモカイン(Stroher et al.(2001)J. Virol. 75, 11025-33、Hensley et al.(2002)Immunol. Lett, 2002, 80, 169-179)の産生及び放出をもたらす事象のカスケードが誘発される。リンパ球はエボラウイルス又はマールブルグウイルスには感染しないが、これらの細胞の大規模破壊が起こり、これは「バイスタンダー」アポトーシスの結果であると言われている(Geisbert et al.(2000)Lab. Invest. 80, 171-86)。リンパ球のこの異常なアポトーシスの理由は明らかになっていない。本発明の一実施の形態は、この現象を調査するのに使用することができるin vitro疾患モデルを含む。]
[0031] 単球/マクロファージの感染、内皮細胞への損傷及び凝血促進タンパク質組織因子の放出がフィロウイルス感染中の出血、ショック、及び播種性血管内凝固(DIC)等の凝固障害の進行の原因となると考えられることが示唆されている(Geisbert et al.(2003a)J. Infect. Dis. 188, 1618-1629)。]
[0032] エボラウイルスによる非ヒト霊長類の感染を伴う研究において、疾患の様々な段階でのIFNa、IL−6、MCP−1、MIP−1a、MIP−1b、IFN−β、IFN−γ、IL−18及びTNF−αの循環レベルの増大が観察された(Geisbert et al.(2003b)Am. J. Pathol. 163, 2347-2370)。ヒトの場合、IL−10レベルの増大と致死率の増大との関連がエボラウイルス感染において観察された(Baize et al.(2002)Clin. Exp. Immunol. 128,163-168)。様々な種類の一次ヒト細胞による他のin vitro研究は炎症誘発性サイトカインレベルにおいて同様の増大(Stroher et al.(2001)J. Virol. 75, 11025-33、Hensley 2002)を、また結果がヒトドナー関連の遺伝学的差異に応じて変わることを示した。フィロウイルス疾患をモデル化するのにVSモジュールを使用する際、VSモジュールにおけるサイトカイン産生は、APCにおける表現型の変化としてモニタリングされる。]
[0033] フィロウイルスワクチンを開発する初期の試みは、ホルマリン又は熱処理により不活性化された細胞培養物伝播性フィロウイルスを使用しているが、与えられる防御は不十分であった(Geisbert et al.(2002)Emerg. Infect. Dis. 8, 503-507)。現在の努力はフィロウイルスにコードされたタンパク質の発現に対して個々に又は組合せて、様々な組換えベクター、例えばVSV及びアデノウイルスベクターを使用することである(Geisbert & Jahrling(2003c)Exp. Rev. Vaccines 2, 777-789)。GP及びNPは、有望な結果を伴う非ヒト霊長類におけるワクチン候補物質として試験されている(Sullivan et al.(2003)Nature 424, 681-4)。現在、フィロウイルス感染に対する効果的な曝露後処理は存在しない。]
[0034] エルシニア属モデル。エルシニア属には、ヒトに対して病原性である3つの種、すなわちエルシニア・エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)、ペスト菌(Y. pestis)及びエルシニア・シュードツベルクローシス(Y. pseudotuberculosis)が含まれる(Brubaker(1991)Clin. Microbiol. Rev. 4, 309-324)。本発明の一実施の形態にはエルシニア属疾患モデルが含まれる。グラム陰性細菌であるペスト菌はノミの刺咬により、又はエアロゾルにより伝播される致死的疾患であるペストの作用因子である(Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。ペスト菌は3回の世界的流行病の原因となり(Drancourt et al.(2004)Emerg. Infect. Dis. 10, 1585-92)、数百万人の人々を死に至らしめた。]
[0035] エルシニア・シュードツベルクローシス及びペスト菌は密接に関連している。ペスト菌はエルシニア・シュードツベルクローシスから進化したものであり得ると考えられる(Skurnik et al.(2000)Mol. Microbiol. 37, 316-330、Achtman et al.(1999)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 14043-48)。最小表現型差異を、ペスト菌株を3つの次亜種(アンティカ(Antiqua)、メディアバリス(Mediaevalis)、オリエンタリス(Orientalis))に分類するのに使用している(Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。これらの宿主への侵入形態及び疾患の重症度に差異があるにもかからわず、3つの病原性エルシニア種は全て、リンパ系組織で共通の向性を示す(Brubaker(1991)Clin. Microbiol. Rev. 4, 309-324)。ペスト菌の完全ゲノム配列が決定されている(Parkhill et al.(2001)Nature 413, 523-527、Deng W et. al.(2002)J. Bacteriol. 184, 4601-4611)。]
[0036] 病原性エルシニア種において、血清耐性及び鉄の獲得を促進する毒性因子が幾つか同定されている(Brubaker(1991)Clin. Microbiol. Rev. 4, 309-324、Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66、Camiel 2002)。さらに、毒性因子は、宿主組織における持続的な細菌複製に必要とされる70kbのプラスミドを含有する(Cornelis et al.(1998)Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62, 1315-1352)。エルシニア種を37℃で成長させると、III型分泌系(TTSS)及び幾つかの分泌基質(Yops、LcrV)が毒性プラスミドから発現される(Cornelis et al.(1998)Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62, 1315-1352、Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。毒性因子がTTSSにより分泌された後、Yopsは食細胞へと送達され、そこでYopsは食作用及び炎症誘発性サイトカイン産生を阻害すると共に、宿主細胞のアポトーシスを誘発する(Cornelis(2002)J. Cell. Biol. 158, 401-408)。LcrVを細胞外環境に分泌し、そこでLcrVはToll様受容体2による相互作用により炎症を阻害する(Brubaker(2003)Infect. Immun. 71, 3673-3681)。ペスト菌は、pMT1及びpPCP1という、ペスト菌に毒性の増大(pMT1及びpPCP1)及びベクター媒介伝達性(pMT1)を与える2つのプラスミドを保有する(Carniel(2002)Curr. Top. Microbiol. Immunol. 264, 89-108、Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。]
[0037] ペスト菌は、その侵入様式が感染ノミによる刺咬によって皮内である場合には腺ペストを引き起こすが、感染が感染性飛沫の吸入によるものである場合には肺ペストを引き起こす(Brubaker(1991)Clin. Microbiol. Rev. 4, 309-324、Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。疾患の病因はマウス及び非ヒト霊長類で研究されている(Welkos et al.(1997)Microb. Pathogen. 23, 211-223、Finegold(1969)Am. J. Pathol. 54, 167-185)。細菌は、リンパ系への侵入前に感染の原発部位で繁殖し、局所リンパ節に、及び血流を介して他の器官、例えば脾臓及び肝臓に展開する。マクロファージは感染の原発部位からリンパ組織への移動のためのビヒクルとして作用し得る。内臓器官における広範な細菌複製により、敗血症及び宿主の死滅が起こる(Brubaker(1991)Clin. Microbiol. Rev. 4, 309-324、Perry & Fetherston(1997)Clin. Microbiol. Rev. 10, 35-66)。動物研究は、感染プロセスの後期で(感染後12時間を超えると)、ペスト菌は細胞外の壊死病巣で複製することが見出されたことを示している(Welkos et al.(1997)Microb. Pathogen. 23, 211-223、Nakajima et al.(1995)Infect. Immun. 63, 3021-3029)。]
[0038] ペスト菌は通性の細胞内病原体であると長く考えられてきた(Cavanaugh & Randall(1959)J. Immunol. 85, 348-363)。動物研究は、ペスト菌はマクロファージ内で生存及び複製することができるが(Finegold 1969)、好中球により細胞内で破壊されることを示している(Cavanaugh & Randall(1959)J. Immunol. 85, 348-363、Burrows & Bacon(1956)Br. J. Exp. Pathol. 37, 481-493)。このため、マクロファージは感染の初期で複製に対する許容部位として効果的に働く。ペスト菌はマクロファージの通常の抗菌機能を破壊することによりこれを達成する。肺ペストに感染したマウスの近交系株及び非近交系株における研究は、例えばIL−6、TNFα、IFNγ、IL−12及びMCP−1のような炎症誘発性サイトカインが感染の後期で気管支肺胞洗浄液中に見出されることを示していた(Bubeck et al.(2007)Infect. Immun. 75, 697-705)。ペストに対する宿主免疫応答では、ペスト菌感染ヒト単球は、TLR9を発現すると共に、樹状細胞に分化することが報告された(Saikh et al.(2004)J. Immunol. 173, 7426-34)。ペスト菌は、細胞機能を損なわせるエルシニア属外部タンパク質(Yops)と呼ばれる幾つかのエフェクタータンパク質を宿主免疫細胞に注入することにより、免疫応答を一部回避することが知られている。ペスト菌のYopJは、シグナル変換経路を破壊すると共に、DC分化とその後の機能に干渉する(Lindner et al.(2007)Eur. J. Immunol. 37, 2450-62)。さらに、YopJ注入は、DCにおいて共刺激リガンドの上方調節及びLPS誘導性サイトカインの発現を防ぎ、このようにしてT細胞増殖及びIFNγ誘導を誘導する能力の低下により、適応応答が損われる。]
[0039] 効果的なワクチンは保護に寄与する体液性免疫応答及び細胞性免疫応答の両方を誘導するものである(Zinkernagel(2003)Annu. Rev. Immunol. 21, 515-546)。体液性免疫は細胞外病原体、そのタンパク質及び毒素を中和するように作用するB細胞による抗体産生を伴い、細胞性免疫は、サイトカインの産生及びT細胞の細胞傷害能を伴い、細胞内の病原体を根絶するように作用する。死滅病原体又はアジュバントと混合した精製タンパク質のいずれかで構成されるワクチンは体液性免疫をプライム化(priming)することにより作用する(Meyer et al.(1974)J. Infect. Dis. 129(Suppl), S13-S18、Heath et al.(1998)Vaccine 16, 1131-1137)。これとは対照的に、毒性病原体の生きている弱毒化ワクチンは細胞性免疫をプライム化することにより作用する(Levine & Sztein(2004)Nat. Immunol. 5, 460-464)。ペスト菌に対するワクチン保護を与える際の細胞性免疫の重要性はマウスモデルを使用して実証されている(Parent et al.(2005)Infect. Immun. 73, 7304-10)。この報告は、ペスト菌に対する免疫でのCD4及びCD8 T細胞の重要性と、これらの細胞により分泌されるIFNγ及びTNFαがその免疫に重要な役割を果たすことを示している。]
[0040] 初期のペストワクチン調査は腺型の疾患に集中していた。ワクチンとして配合された毒性ペスト菌の熱殺菌(Heat-killed)培養物が1897年にHaffkineによって使用された(Haffkine(1897)Br. Med. J. 1, 1461)。Kolle & Ottoは、生きている弱毒化ペスト菌株が毒性感染に対してマウスを保護していることを見出した(Kolle & Otto(1904)Z. F. Hyg. 48, 399-428)。これらの生きている弱毒化株をヒトに使用し、その安全性及び有効性を確立したが(Strong(1908)J. Med. Res. 18, 325-346)、それらの株は拒絶反応を引き起こすことがあった。肺ペストワクチンへの取組みは主に、組換えペスト菌タンパク質を使用したサブユニットワクチンの開発に焦点を当てており(Titball & Williamson(2004)Expert Opin. Biol. Ther. 4, 965-973)、分画1(F1)及びVはワクチン接種で広く試験されており、これらの組換えタンパク質は肺ペストに対してマウスを保護する(Williamson et al.(1995)FEMS Immunol. Med. Microbiol. 12, 223-230、Anderson et al.(1996)Infect. Immun. 64, 4580-4585、Andrews et al.(1996)Infect. Immun. 64, 2180-2187)。組換えF1−V融合タンパク質ワクチンが、マウスを保護することが報告されているが(Heath et al.(1998)Vaccine 16, 1131-1137)、肺ペストに対して非ヒト霊長類を完全には保護しない。]
[0041] ペストに対する現在の治療レジメンは、抗生物質のテトラサイクリン、ストレプトマイシン及びクロラムフェニコールの使用を含む。最近では、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、ドキシサイクリン及びシプロフロキサシンも推奨されている。]
[0042] バークホルデリア属モデル。鼻疽菌(Burkholderia mallei)は、CDC分類に基づく(per)カテゴリーBの生物戦争作用因子である。鼻疽菌(B. mallei)はグラム陰性の非運動性病原菌(bacillus)であり、ウマ、ラバ及びロバで主に鼻疽を引き起こす。本発明の一実施の形態にはバークホルデリア属の疾患モデルが含まれる。バークホルデリア属は経口経路により感染し、感染動物との密接な接触により展開する。ウマの感染はほとんどの場合、緩徐進行性の慢性疾患として現れるが、ロバでは、疾患は通常重症なものであり、7日〜10日で死に至る(Acha & Szyfres(1987)Zoonoses and communicable diseases common to man and animals. 2nd ed. Washington, DC: World Health Organization)。マウス、ハムスター、モルモット(guinea pigs)、サル及びイヌ等の他の動物もこの病原体に感染しやすい(DeShazer 2004)。鼻疽菌は皮膚経路によっても感染する可能性がある。自然宿主において鼻疽に対する効果的な治療は存在せず、鼻疽と診断された動物は通常、隔離され屠殺される。ヒトでは、鼻疽菌による感染は粘膜(経口、鼻腔、眼)又は皮膚経路を解して起こり得る。現在、鼻疽菌に対するワクチンは存在しない。生物戦争作用因子としての潜在的使用のために、鼻疽菌に対するワクチンの優先度は高い。実際、鼻疽菌は、ロシア軍のウマ及びラバを不能にさせるために、第一次世界大戦においてドイツ軍により生物兵器として使用された(Aldhous(2005)Nature 434, 692-3)。]
[0043] 遺伝的に関連のある種である類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)は、タイ等の国で死亡率がおよそ50%である類鼻疽を引き起こす(Aldhous(2005)Nature 434, 692-3)。類鼻疽菌はアジアの一部及び北オーストラリアで流行している。類鼻疽菌(B. pseudomallei)は潜在的なバイオテロ作用因子ともみなされている。別の種であるバークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)はヒトでは非病原性であると考えられる。]
[0044] 類鼻疽菌の完全ゲノム配列(Holden et al.(2004)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 14240-14245)はWellcome Trust, UKにより決定されており、鼻疽菌の完全ゲノム配列(Nierman et al.(2004)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 14246-51)はTIGRにより決定されている。鼻疽菌はそのゲノム部分の欠失により類鼻疽菌から進化したと考えられている(Godoy et al.(2003)J. Clin. Microbiol. 41, 2068-2079)。遺伝子の喪失が細菌種の病原性進化に寄与しているという報告がある(Maurelli et al.(1998)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 3943-3948、Moore et al.(2004)Infect. Immun. 72, 4172-87)。非病原性のバークホルデリア・タイランデンシス(B. thailandensis)には、アラビノース同化オペロンでコードされるタンパク質を使用してアラビノースを同化する能力があり、病原種である鼻疽菌及び類鼻疽菌はこのオペロンを欠いている。このため、アラビノース同化に関する遺伝子は抗毒性(anti-virulence)遺伝子と称されている(Moore et al.(2004)Infect. Immun. 72, 4172-87)。]
[0045] 類鼻疽菌のゲノム配列解析により、3つのIII型分泌系(TTSS)遺伝子を含む生存及び毒性機能をコードする遺伝子が幾つか同定され、鼻疽菌では毒性機能に関与する遺伝子がエキソ多糖類カプセル(DeShazer et al.(2001)Microb. Pathogen. 30, 253-269)及びTTSS(Ulrich & DeShazer(2004)Infect. Immun. 72, 1150-1154)をコードする遺伝子クラスターを形成する。TTSSは、ヒトマクロファージ様細胞内での鼻疽菌の細胞内生存に必須であることが見出された(Ribot & Ulrich(2006)Infect. Immun. 74, 4349-53)。]
[0046] サル、モルモット、ハムスター及びマウスを含む幾つかの動物種がヒト鼻疽菌感染のモデルとして使用されている。ヒトにおける急性鼻疽は肺炎の急速な発症を特徴とし、結果としてBalb/cマウスでの感染のエアロゾルモデルが開発された(Lever et al.(2003)J. Med. Microbiol. 52, 1109-15)。初期の疾患では、病原体は気道の上部と下部に局在し、肺胞マクロファージにより局所リンパ節に輸送される。疾患が進行するにつれて、細菌が広まり、肝臓及び脾臓を含む他の器官、及び後期には血流でも見出される。]
[0047] 鼻疽菌感染に対する宿主免疫応答において、I型サイトカインであるIFNγ及びIL−12は初期感染を制御する鍵となる(Rowland et al.(2006)Infect. Immun. 74, 5333-40)。この報告では、IFNγ、IL−6、MCP−1、IL−12p35、IL−18及びIL−27のレベルの増大は腹膜感染したマウスの血清及び脾臓で見出される。IFNγノックアウトマウスは、感染を制御することができず、2、3日以内に死滅する。このことにより鼻疽菌感染に対する宿主免疫におけるIFNγの重要性が示唆される。鼻疽菌は外側にリポ多糖類(LPS)カプセルを有する。鼻疽菌LPSはヒトToll様受容体(TLR)4の強力な活性因子であり(Brett et al.(2007)Mol. Microbiol. 63, 379-90)、ヒトマクロファージ様細胞(THP−1、U−937)、単球由来マクロファージ及び樹状細胞のTLR4媒介性刺激を誘発し、それにより高レベルのTNF−α、IL−6及びRANTESが得られることが報告されている。これらの観察結果は、鼻疽菌LPSカプセルがヒト疾患の病因に重要な役割を果たすことを示唆している。]
[0048] 鼻疽菌及び類鼻疽菌は自然状態では土壌細菌であるので、それらは本来多くの抗生物質に耐性がある。鼻疽菌及び類鼻疽菌の65個の単離株に関する研究では、フルオロキノロン、β−ラクタム抗生物質、アミノグリコシド及びマクロライドを含む抗菌剤に対する広範な耐性が言及されてきた。細菌は、イミペネム、セフタジジム、ピペラシリン、ピペラシリン/タゾバカム(tazobactam)、ドキシサイクリン及びミノサイクリンに対して感受性があることが見出された(Thibault et al.(2004)J. Antimicrob. Chemother. 54, 1134-8)。これらの抗生物質は現在、類鼻疽及び鼻疽の曝露後治療に使用されている。]
[0049] 報告書は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)含有CpGモチーフ(CpG ODN 7909)によるBalb/cマウスの前処理が鼻疽菌によるエアロゾルチャレンジに対してマウスを保護することを示した。この保護は、インターフェロンγ(IFNγ)誘導性タンパク質10(IP−10)、IL−12、IFNγ及びIL−6のレベルの増強に関連することが見出された。このため、CpG ODN 7909による処理が鼻疽に対して保護するための効果的な曝露前療法を与えた。CpG ODN 7909はTLR9のアゴニストである。TLR7及びTLR9は下流に位置するインターロイキン−1受容体関連キナーゼ(IRAK)及びTRAF6を活性化するMyD88依存性経路を共有していると考えられる(Kawai & Akira(2005)Arthritis Res. Ther. 7, 12-19)。次にこれらはNF−κB及びマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼを活性化し、それにより炎症性サイトカイン遺伝子の活性化がもたらされる。このようにして、TLR7/9又は他のTLRを活性化するTLRアゴニストは鼻疽による致死的感染に対して保護するように作用し得る。]
[0050] まとめると、上記の疾患において、HIV、エルシニア属、バークホルデリア属、フィロウイルス及び野兎病の病因は全て、病原体に感染した抗原提示細胞を伴い、その後病原体の複製が起こる局所リンパ節へと輸送される。例えば、in vitro感染性疾患モデルは2つのモジュールで構成され得る:マクロファージ/DCが病原体に感染する感染モジュール(本発明のモデル系でVSにより表すことができる) 、及び感染APCが病原体を局所リンパ節に輸送させるプロセスを表す疾患モジュール(本発明のモデル系でLTEにより表すことができる)。この疾患モデルモジュールLTEでは、ヒトリンパ節で自然状態で起こるようにリンパ球が活性化/プライム化すると共に、病原体が繁殖する。このカテゴリーの病原体に関しては、LTE自体が、例えば腫瘍疾患モデルと同様に別々の培養組織構築物を必要とせずに、疾患モデルモジュールとして働き得る。任意で、潜在的なワクチン候補物質に対する免疫応答を生じ、その後非感染のプライム化LTEの内容物を感染LTE疾患モデルモジュールに移動させ、ウイルス複製及び感染に対するワクチン候補物質の効果と、感染の免疫クリアランスの効果とを求めるのにAISを使用することができる。本発明は感染及び非感染VSモジュールとLTEモジュールとの両方を有するモジュール式であるので、これらのモジュールを様々な組合せ及び順番で使用することができ、実践者(practioner)が、求められる効果が予防的、治療的又はその両方であるかに応じて、また所望の免疫部位(例えば、末梢組織、リンパ系組織又はその両方)に応じて、様々な抗原、アジュバント、ワクチン、薬物及び他の作用因子に起因するウイルス複製、感染、並びに病因に対する様々な効果を研究するために様々な実施の形態を選択することができる。実際、本発明の幾つかの実施の形態は、或る特定の種類の疾患に対する疾患モデル全体として修飾VS又はLTEのみを使用してもよい。]
図面の簡単な説明

[0051] AISと疾患モデルとの統合を示す本発明の一実施形態の概略図である。
内皮層及び上皮層を作製するために、構築物の上部及び下部での細胞の添加を含む3D異種組織構築物を示す図である。
ジェネリックな(generic)疾患モデルの開発と、それを特定の疾患でどのように試験することができるかとを示す概略図である。
例として、3D構築物内で垂直に展開するメラノーマ腫瘍細胞、又は細菌若しくはウイルスに感染した線維芽細胞の概略図である。
in vitro野兎病モデルの調製及び解析のためのフローチャートである。
例としてのin vitro疾患モデルアーキテクチャを示す図である。
HIVワクチン候補物質を試験するフローチャートである。
HIVワクチン候補物質を試験するためのHIV疾患モデルを示す図である。候補ワクチンはAPCをプライム化するためにVSモジュールに入れる。それからこれらのAPCを、リンパ球をプライム化するためにLTEモジュールに入れる。in vitro免疫化リンパ球及び得られる抗体を(感染部位モジュールにおけるHIVとの並行感染から得られた)感染APCと共に疾患モジュールに入れる。自己細胞を使用する。例えばウイルス複製の阻害又は細胞溶解により、与えられた任意の保護を定量化する。
感染性疾患における保護の相関関係の評価を表す図である。保護の相関関係の要素全て(CTL、抗体、サイトカイン、CD4+T細胞)を試験する。
疾患細胞(例えばHIV感染APC)を、疾患細胞(例えばHIV感染APC)をVSからLTEに置くことによりVS/LTE組合せからの「アウトプット(output)」に曝し、疾患細胞に対する効果を評価する。保護の相関関係を規定するための疾患細胞に対する任意の効果と同様に、疾患細胞によるLTE構成要素に対する効果を評価することができる。]
[0052] 本発明の人工免疫系を、HIVを含む多くのヒト疾患を研究するのに使用することができる。このin vitroモデルは、細菌及びウイルス疾患系をモデル化するのに使用することができるだけでなく、損傷及び炎症における宿主免疫応答を研究するのにも使用することができる。]
[0053] 実施例1
in vitroでの3D疾患モデルのためのジェネリックな組織構築物。図2は、内皮層及び上皮層を作製するために、構築物の上部及び下部での細胞の添加を含む3D異種組織構築物を示している。このモデルは本発明者らが確立した3Dの内皮細胞のみの構築物での改善であり、これは経内皮移動及び単球の樹状細胞及びマクロファージへの分化に使用されている(ワクチン接種部位、VS)。] 図2
[0054] 本実施例の3Dモデルを、様々な疾患及びワクチン製剤に供する際の免疫生理学反応を研究するのに使用することができる。これは、ほとんどの組織が関連の内皮層及び上皮層を有する3D細胞外マトリクスを伴うため、ジェネリックな構築物である。ウイルス、細菌又は腫瘍のいずれであっても疾患はジェネリックな組織構築物に導入される。それからAIS由来の様々な免疫細胞及び生体分子(例えば、抗体、T細胞、サイトカイン、ケモカイン)を疾患モデルに送達し、エフェクター応答(例えば、中和抗体の有無、細胞傷害性)を検査及び検出することができる。]
[0055] 実施例2
メラノーマ細胞を使用するAISにおける腫瘍モデル化。多くのin vitroモデル系を、一次細胞及び様々な細胞株の両方を使用して、成人癌及び小児癌における抗癌療法の効果及び腫瘍成長を検査するのに使用している(例えば、Houghton et al.(2002)Clin Cancer Res 8, 3646-57を参照されたい)。かかるモデルは腫瘍代謝状態、増殖の阻害及びバイオマス全体の低減を評価するのに有用であることが証明されている(例えば、Monks et al.,(1991)J Natl Cancer Inst 83, 757-66、Scherf et al.,(2000)Nat Genet 24, 236-44を参照されたい)。]
[0056] ヒト癌の動物モデルは、種の差異のためにヒト治療転帰の良好な予測因子にはなっていいない(例えば、Houghton et al.,(2002)Clin Cancer Res 8, 3646-57、Bridgeman et al.,(2002)Cancer Res 60, 6573-6、Batova et al.,(1999), Cancer Res 59, 1492-7を参照されたい)。]
[0057] 任意の腫瘍モデルと同様に、主な目的は、患者の生存率及び全体的な健全性(well being)を増大させると共に、全身腫瘍組織量を低減することである。最も予測的なモデルは、in vitroで観察されるものと臨床の場で観察されるものとを関連付けるのを助ける。]
[0058] ヒト皮膚におけるメラニン形成細胞は上皮層(stratum)内の濾胞間メラニン含有(色素)細胞であり、神経外胚葉起源である。メラノーマはヒト皮膚癌の共通形態である。悪性メラノーマ(色素形態及び非色素形態の両方)は介入療法に耐性があることが多く、有意な罹患率及び死亡率に関連している。]
[0059] 2つの形式のメラノーマ細胞増殖が起こることが知られている:1つが放射方向への、もう1つが垂直方向への上皮下マトリクス(in vivoで皮膚層)への増殖(Chudnovsky et al.,(2005)Nat Genet 37, 745-9)。多くの因子が遺伝子変化、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)の触媒性サブユニットの過剰発現、及びメラノーママーカーHMB−45及びMelan−Aの発現を含む自発的な非制御増殖に関与している。上部の上皮層及び皮膚層へのページェット病様(Pagetoid)浸潤は通常、これらの条件下で観察される。浸潤特性(垂直又は放射状)及び特定のヒトメラノーママーカー(例えば、NRAS、PI3K、CDK4、HMB−45又はMelan−A)の発現に関して多様の特徴を有する様々なメラノーマ細胞をATCCから購入することができる(例えば、A−375、SK−Mel−31、WM115、SK−Mel−2、SK−Mel−24)。]
[0060] 実施例3
内皮層及び上皮層を形成するための組織構築物の上部及び下部での細胞の添加による異種組織構築物。ジェネリックな疾患モデルの開発と、それを特定の疾患でどのように試験することができるかとを図3に概略的に示している。例としては、本発明者らは、3D ECMマトリクスを調製するのに、コラーゲン、合成若しくは天然材料(例えば、ヒドロゲル、PLA、PLGA、ゼラチン、ヒアルロン酸)、又はそれらの組合せのいずれかを含む、ポリカーボネート膜支持構造を使用した。本発明者らは、2つの細胞層を支持することが可能なECMを確立した。本発明者らは初めに、マトリクスの片側に上皮細胞(例えば、ヒトケラチン生成細胞)の層を成長させた。このモデルの利点は、呼吸器の上皮細胞、皮膚上皮細胞又は腸/口腔上皮細胞(概略的に図3に示されるような)等の他の上皮細胞を使用することができることである。上皮とマトリクスとの間の基底膜領域は、この態様の構築物及び添加の成功に重要であり、例えばIV型又はVII型コラーゲンが含まれ得る。メラノーマモデルに関して、基底膜のバリア機能は転移形式の病理を分析するのにも重要であり得る。これは、本発明の疾患モデルの一般的アーキテクチャの利点であり、このモデルを、様々な上皮細胞型を使用することにより多くの組織を模倣するのに使用することができる。メラニン形成細胞及びケラチン生成細胞の播種後、ケラチン生成細胞が確立され、成層が始まると、細胞を空気界面に曝し、連続した成層、堅固な細胞間結合の形成及び角質化を促す。
角質化細胞層が形成されると、内皮細胞(例えば、HUVEC、不死化内皮細胞株)の層をもう一方の側に適用することができるように、構築物を反転することができる。内皮細胞が確立されている場合、構築物を反転し(そのため構築物が再び直立になり)、ケラチン生成細胞に対して空気界面を元に戻す。内皮細胞がコンフルエント単層を形成すると、組織構築物が完成し、特性化できるようになる。
本発明の他の実施形態において、上皮層にメラニン形成細胞を有しない多機能疾患モデルでは、ウイルス又は細菌疾患モデルを調製することができる。これらの実施形態では、ウイルス又は細菌構成要素のいずれかを特殊な非角質化上皮表面に適用し、通常の生理学的事象を模倣する。ウイルス及び細菌浸潤/感染では、上皮の損傷(compromise)は細胞感染又は細菌毒素の放出のいずれかにより引き起こされ、これをモニタリングすることもできる。] 図3
[0061] 実施例4
3Dのジェネリックな疾患組織構築物の生存能力。ケラチン生成細胞の研究は、細胞が数週間、培養物中で生き抜くことを示している(Boelsma et al.,(2000)Acta Derm Venereol 80, 82-8)。本発明者らは、数週間、培養物中、3D構築物でHUVECが維持されることも経験している。構築物での細胞の生存能力を、例えば任意の形態変化を特定するような方法により、及び従来のLDH放出アッセイによりモニタリングすることができる。細胞が死滅すると、原形質膜は、培養培地へと放出されるLDHを漏洩するようになり、共役酵素アッセイで測定することができ、これによりレザズリンが蛍光レゾルフィン生成物へと変換される。生じた蛍光量は溶解細胞の数に比例する。細胞染色を組織構築物で行い、生存/死滅細胞集団を測定することもできる。細胞浸透エステラーゼ基質、例えばCellTracker Green CMFDAは、プローブの細胞内貯留に要求される細胞膜完全性と、プローブの蛍光を活性化するのに要求される酵素活性との両方を測定する生存能力プローブとして働く。細胞非浸透性の核酸染色、例えばエチジウムホモ二量体−1を、死滅細胞を検出するのに使用することができる。それから蛍光染色した細胞を共焦点顕微鏡により観察することができる。]
[0062] 実施例5
上皮細胞が構築物で成層を形成する。皮膚同等物モデルの構築のために、ケラチン生成細胞層を空気界面に曝し、成層の形成を促す。成層の形成は、顕微鏡検査によりモニタリングすることができる。定期的に、細胞層を、免疫蛍光共焦点顕微鏡を使用することにより検査し、堅固な細胞間結合及び細胞の核を特定することができる。さらに、試料をパラフィンで包埋したパラホルムアルデヒド中に固定し、切片化し、光学顕微鏡検査のためにヘマトキシリン及びエオシンで染色することができる。]
[0063] 実施例6
in vitro疾患モデルを作製するジェネリックな組織モジュールの構築。本発明の一実施形態では、3Dモデルを、様々な疾患(例えば腫瘍モデル)に対する免疫応答又は炎症媒介性応答を観察するのに調べる。例としては、メラノーマ細胞、HSV、インフルエンザウイルス、大腸菌及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を使用する。]
[0064] 上皮層が形成されたら、メラノーマ細胞を組み込む。ヒトメラニン形成細胞が濾胞間にあるので、成長がゆっくりである細胞株を使用して基底上皮細胞により角質化上皮を形成させる。様々な細胞型の適用は、これらの細胞を通常のケラチン生成細胞と(例えば約5×103と約30×103との比で)混ぜることにより達成することができる。悪性のメラニン形成細胞の垂直及び水平展開のモニタリングは、蛍光色素標識化、メラニン形成細胞特異的マーカー及び共焦点顕微鏡を用いて染色することにより達成することができる。別の例としては、他の構築物を消化することができ、存在するメラニン形成細胞の数を、フローサイトメトリ及び同様のマーカーを使用して評価することができる。]
[0065] 実施例7
例としては、3D構築物内で垂直に展開するメラノーマ腫瘍細胞又は細菌若しくはウイルスに感染した線維芽細胞を添加するのに使用することができる方法論を図4で概略的に示している。腫瘍細胞を疾患モデルに添加するために、ECM材料を膜支持体に添加する前に、及びマトリクスで上皮細胞及び内皮細胞を成長させ始める前に、本発明者らはECM材料内でこれらの細胞を混合する。] 図4
[0066] 実施例8
ウイルスモデルの調製に関して、幾つかの関連方法が存在する。例としては、生ウイルスでは、本発明者らは上皮層を感染させる。別の例では、ウイルスに感染した照射線維芽細胞を、コラーゲンマトリクスに組み込むことができる。HLA適合、同系又は自己線維芽細胞を使用することができ、それらを増殖させると共に、適切な感染多重度(multiplicity of infection)(MOI)(例えば約10)でウイルスに感染させることができる。感染を適切な感染後時間(time post-infection)まで進め、この時点で感染性ウイルスをUV不活性化する。]
[0067] 実施例9
in vitro感染/疾患モデルは、付着、侵入及び脱殻を含むウイルスのライフサイクルの解析に、並びにウイルス粒子と宿主標的細胞との相互作用を明らかにするのに重要である。本発明者らは、AISで作製されたワクチン誘導性の免疫産物の有効性を調べるのにも、in vitro疾患/感染モデルを使用することができる。ウイルス疾患モデルの好適な例としては、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びインフルエンザウイルスが挙げられる。ヒト及び/又はマウスモデル系を使用することができる。]
[0068] 実施例10
本発明は感染/免疫誘導の二次元及び三次元(2D、3D)モデルの両方を含む。例示的な2Dモデルでは、静的な培養系を用いることができる。例示的な3Dモデルでは、ワクチン接種部位(VS)及びリンパ系組織同等物(LTE)を使用することができる。]
[0069] 実施例11
ウイルス抗原導入方法の幾つかが本発明を実施するのに好適である。例としては、適切な感染多重度(MOI)でのウイルスによる培養上皮の直接感染を使用することができる。別の例としては、HLA適合又は同系線維芽細胞を使用することができ、それらを増殖させると共に、適切なMOI(例えば約10)でウイルスに感染させることができる。感染を適切な感染後時間まで進め、この時点で感染性ウイルスをUV不活性化する。ウイルス感染及び不活性化の反応速度はそれぞれ、例えば免疫蛍光及びプラークアッセイにより確認することができる。]
[0070] 感染性ウイルス又はウイルスに感染したUV不活性化線維芽細胞を培養物に添加することができる。線維芽細胞培養物では、非感染UV処理線維芽細胞を陰性対照として使用することができる。2D培養物では、感染性ウイルス、線維芽細胞又はワクチン/アジュバント製剤を抗原提示細胞(APC)及びリンパ球を含有する混合免疫細胞集団に添加する。3D培養物では、抗原を、樹状細胞(DC)を含むワクチン接種部位(VS)含有逆移動(reverse-transmigrated)(RT)抗原提示細胞(APC)に導入する。それから、APCは抗原を処理し、Tリンパ球及びBリンパ球を含むリンパ系組織同等物(LTE)に導入される。]
[0071] 2D培養物及び3D培養物の両方で、対象の免疫学的パラメータには、免疫細胞表現型のパターン、並びにサイトカイン合成及び分泌が含まれる。フローサイトメトリ解析はこれに関して有益である。ウイルス特異的な細胞傷害活性を、ウイルスパルス標的細胞による例えば非放射性LDH細胞傷害性アッセイを使用してT細胞に関して評価することができる。B細胞を、抗体分泌の特異性及びアイソタイプ、並びに中和能に関して評価することができる。]
[0072] 再現(recall)応答及び抗ウイルス活性を評価するために、免疫細胞及び/又は可溶性因子を、解析のために2D培養物から又は3D系のLTEから回収することができる。それから、これらの免疫細胞及び/又は生体分子を、例えばin vitro 2D、in vitro 3D組織培養疾患モデル、又はin vivo(特にマウス)疾患モデルを使用して試験することができる。2D実験では、これらを例えば線維芽細胞の懸濁液又は単層培養物と同時に培養することができる。それから、培養物を感染性のウイルス又はウイルスに感染したUV不活性化細胞でチャレンジすることができる。別の例としては、同様のin vitroチャレンジを、上皮層を組み込んだ3D組織培養疾患モデルで行うことができる。in vitro実験では、培養物を選択された攻撃後時間で採取し、ウイルス特異的免疫及び抗ウイルス活性に関して、上記のように、例えば回収された感染性ウイルスの力価によりアッセイする。]
[0073] LTEに由来する免疫細胞のin vivo有効性を評価するために、本発明者らは、例えば、AISに由来する選択された細胞集団をウイルス攻撃前に導入することができるマウスモデルにおいて養子移植免疫(adoptive transfer)研究を実施することができる。HSV感染のマウスモデルの幾つかが利用可能であり、AISから回収した細胞の保護有効性を評価するのに使用することができる。]
[0074] 実施例12
本発明の別の例として、本発明者らは、再発性HSVを有する血清陽性個体(S+R+)と、再発性疾患ではない血清陽性個体(S+R−)と、血清陰性ヒト被験体(S−R−)とを伴う「性質の実験」を実施することができる。これらの被験体由来の細胞をウイルス抗原で感作することができる。その後の免疫読み出しは、S+R+被験体とS+R−被験体とを比較する場合の保護免疫機構の一次及び再現免疫事象並びに免疫プロファイリングの識別を可能にする。]
[0075] 実施例13
メラノーマ腫瘍モデルにおいて、上皮層を介する放射状のメラニン形成細胞の展開及び上皮下マトリクスへの浸透(垂直の腫瘍増殖)を調べることができる。幾つかのメラノーマ細胞株が放射状の増殖のみ(可能性としては基底膜構造の障害又は様々なコラーゲンの生化学的構成の結果)又は垂直増殖のみを示すので、マトリクス内の免疫細胞集団を標的化することが可能である。アジュバントを添加して又は添加せずにメラノーマ抗原の存在により、捕捉抗原を有するDCが成熟する。]
[0076] APCが捕捉抗原を有するモジュール外に逆移動するので、APCはTNFαにより成熟することができる。APC表現型マーカー及び炎症性サイトカインのパネルを、メラノーマ細胞を添加せずにモジュールと比較することができる。したがってこれらの結果は、既知の刺激因子又はアジュバント(例えばLPS、CpG、ポリ(IC)、MF59)によるVS応答と比較することができる。VSにおけるメラノーマ細胞由来の腫瘍抗原への曝露後のこれらの単球由来APCの機能評価は、抗原提示の評価のためにAPCをLTEモジュールに配置することにより実施することができる。IL12は、ヘルパーT細胞を活性化するDCにより放出される重要なサイトカインであり、その後DCはIFNγを放出する。IFNγはCTL活性及び血漿細胞へのB細胞分化に寄与する。抗体放出、補体(compliment)固定及びPMNの腫瘍細胞(in vivo)の領域への流入がTNFαの放出を引き起こす。TNFα及びIFNγは腫瘍細胞増殖抑制特性を有し(Croci et al.(2004)Cancer Res 64, 8428-34)、この特性をモニタリングすることができる。例として、LDH放出をモニタリングする非放射性の細胞傷害性T細胞アッセイを使用することができる。]
[0077] 実施例14
野兎病モデル。本発明の実施形態において、野兎病のin vitroモデルを調製する。生きている弱毒化株は、BSL−2実験室で安全に使用することができる。一連のヒト血液ドナー由来のPBMCを調製し、コラーゲン3Dマトリクスで様々な比の野兎病菌と混合する。それから例えばBioplex 22−サイトカインキットを使用して、野兎病菌に対する免疫応答を評価する。例えば、IL−18、IL−1β、IFN−γ、IL−12、IL−4及びIL−5のレベルを求める。IgM及びIgG抗体のELISAを培養上清で実施し、体液性応答を調べる。コラーゲン構築物をコラーゲナーゼを用いて消化し、細胞を放出して、アリコートを段階希釈し、チョコレート寒天プレートに平板培養する。コロニーを約3日後に計測し、宿主細胞における病原体の繁殖を求める。感染に応じたT細胞、B細胞及びマクロファージの活性化状態を、例えばFACS解析により求める。実験のフローシートを図5に示す。] 図5
[0078] 保護が分泌抗体により与えられるか否かを求めるために、一次感染由来の培養上清をコラーゲンにおけるPBMCと野兎病菌との新規の組に添加し、新規の感染を可能にする。この後に、上記のようにサイトカインレベル、ELISA、フローサイトメトリ解析及びコロニー数を求める。抗体により与えられる任意の保護は、保護免疫応答の増大、及び病原体コロニー数の低下に反映されることが予測される。]
[0079] このin vitroモデルをワクチン及び薬物候補物質のための実験台として使用することができる。キノロン薬物、例えばシプロフロキサシンは、野兎病に対して効果的であることが報告されている(Johansson et al.(2002)Scand. J. Infect. Dis. 34, 327-30)。かかる薬物の効果を、in vitroモデルへの薬物の添加及びコロニー数の任意の低減を求めることにより容易に試験することができる。同様に、他の薬物及びワクチン候補物質を、このモデル系における有効性に関して評価することができる。]
[0080] 実施例15
フィロウイルスモデル。単球及びマクロファージを有するコンフルエント内皮を含む、本発明の人工免疫系のワクチン接種部位(VS)モジュールを病因モデル系として使用することができる。特に言及されない限り、疾患モジュールに関しては、VSと感染部位(IS)モジュールとを区別なく使用することができる。フィロウイルス疾患モデルを調製するために、例として細胞内ウイルス病原体であるISモジュールを調製し、感染標的として働かせる。ISモジュールの調製は、コラーゲンマトリクス上で内皮細胞の単層を成長させることを含む。PBMCを内皮細胞層の上部に添加する。単球は、内皮を通って幾つかのT細胞及びB細胞(5%〜10%)と共にコラーゲンマトリクスに選択的に浸出する。PBMCにおける単球は、内皮を横断するにつれて、広範な表現型のAPCに分化する。単球によっては、成熟及び未成熟の樹状細胞(DC)に分化した後、コラーゲンから内皮を通って逆移動するものもあれば、他の単球はマクロファージに分化し、これらの内皮下細胞がコラーゲンマトリクスに残る。このシステムが、in vivo分化プロセスをモデル化し、それによりワクチン接種部位に侵入するAPC(例えば単球)が内皮を横断して組織に入るにつれて、分化シグナルが得られる。この方法は、PBMCからDC及びマクロファージを生成する、広範に使用されるサイトカイン誘導性(例えばGM−CSF、IL−4、MCSF)方法よりも優れている。]
[0081] 感染性ビリオンを内皮細胞の上部に添加することができる。フィロウイルスが内皮に感染し、また内皮を通って移動し、コラーゲンにおいてDC及びマクロファージを感染させる。この場合、さらなるリンパ球をコラーゲン中に含み、病原体に対して免疫応答を高めることができる。]
[0082] このため、VSモジュール/感染部位(IS)モジュールは、エボラ疾患モデルの必須要素であり、差異は本発明者らがさらなるリンパ球を組み込んだだけである。このシステムは、様々な期間インキュベートし、疾患の進行を研究することができる。内皮細胞はISシステムの重要な部分であるが、このシステムにおける内皮細胞の存在が、エボラウイルスタンパク質若しくはワクチン候補物質を発現するエボラウイルス又はVSVに応じてMHC−I媒介性の同種免疫応答を生じ得る。そのようなことが起こると、APCは48時間後(DC及びマクロファージがISで分化しているとき)ISモジュールから単離され、刺激のために、LTEモジュール/疾患モジュールにおいて新たなPBMCと共にAPCを添加する。内皮細胞が同種免疫応答を生じない場合、本発明者らは疾患モジュールとしてISを使用し続ける。]
[0083] このため、本発明の人工免疫系のVS/ISモジュールは感染のin vivoシナリオを厳密に模倣し、内皮細胞、DC、マクロファージ及びリンパ球を含む、感染プロセスに関与する構成要素全てがモデルシステムに存在する。このシステムを様々な期間インキュベートし、疾患の進行を研究することができる。サイトカインプロファイルを、例えばBioplexアッセイを使用して評価すると共に、抗体応答を、このモデル由来の培養上清を使用して様々な時点で例えばELISAにより評価する。例えば、IFNα、IL−6、MCP−1、MIP−1a、MIP−1b、IFN−β、IFN−γ、IL−18及びTNF−αのレベルを求める。疾患関連因子、例えばTFも測定することができる。コラーゲンマトリクスをコラーゲナーゼで消化し、細胞を放出して、内皮細胞、DC、マクロファージ及びリンパ球でのそれらのアポトーシス状態及び様々な細胞マーカーの発現レベルを例えばフローサイトメトリにより評価する。生成された抗体を評価することもできる。]
[0084] フィロウイルスワクチンの有効性を評価するために、一連のヒト血液ドナー由来のPBMC細胞をVSモジュール及び単純なコラーゲン3Dマトリクスにおいて様々な濃度(例えば約1μg/mL〜50μg/mL)の例えばエボラワクチンと共に様々な期間、インキュベートする。ワクチン製剤は、感染性ビリオンと同様に単球により取り込まれ、これによりワクチン抗原に対する宿主免疫応答が確立される。それから、試験ワクチンに対するこの宿主免疫応答を、例えば、Bioplex 22−サイトカインキットを使用して、例えばサイトカイン応答に関して評価する。例えば、IFNα、IL−6、MCP−1、MIP−1a、MIP−1b、IFNβ、IFNγ、IL−18及びTNFαのレベルを求める。IgM及びIgG抗体のELISAを培養上清で実施し、試験ワクチンに応じた抗体産生のレベルを求める。コラーゲン構築物をコラーゲナーゼで消化し、細胞を放出して、感染に応じた、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ及び樹状細胞の活性化及びアポトーシス状態をFACS解析により求める。様々なウイルスタンパク質、ペプチド及びタンパク質の組合せを発現するベクターを使用する実験を、ウイルスタンパク質に対する宿主免疫応答における差異及び変化を評価するのにも使用することができる。]
[0085] 実施例16
エルシニア属モデル。本発明の一実施形態はペスト菌感染の疾患モデルを含む。感染モジュール(例えばIS)では、マクロファージが病原体に感染する。疾患モジュールは感染マクロファージが病原体を局所リンパ節に輸送させるプロセスをモデル化する。この疾患モジュールでは、リンパ球を活性化/プライム化すると共に、病原体を繁殖させる。このリンパ節同等物(LTE)モジュールは疾患モジュールとして働く。in vivoでは、他の器官に移動する前に細菌をリンパ節で複製させる。本発明の人工免疫系は様々なモジュールがプラグ・アンド・プレイ(plug-and-play)免疫学構築物として設計されるという点で柔軟である。この特徴は本明細書中でエルシニア属の感染性疾患モデルの感染及び疾患モジュールと共に用いられる。]
[0086] 感染モジュールシステム(IS)はコラーゲンマトリクス上の内皮細胞の単層の成長を伴う。PBMCを内皮細胞層の上部に添加する。単球は内皮を通って少数のT細胞及びB細胞リンパ球(5%〜10%)と共にコラーゲンマトリクスに選択的に浸出する。PBMCにおける単球は、内皮を横断するにつれて、広範な表現型のAPCに分化する。単球によっては、成熟及び未成熟の樹状細胞(DC)に分化した後、コラーゲンから内皮を通って逆移動するものもあれば、他の単球はマクロファージに分化し、これらの内皮下細胞がコラーゲンマトリクスに残る。このシステムはin vivo分化プロセスを模倣し、そこでワクチン接種部位に侵入する抗原提示細胞(例えば単球)は内皮を横断して組織に入るにつれて、分化シグナルを受ける。]
[0087] 疾患モデルを調製するために、ペスト菌をISモジュールの内皮細胞の上部に様々な感染多重度(MOI)で添加する。ペスト菌は、内皮を横断し、病原体がマクロファージに感染すると共に、また樹状細胞をペスト菌抗原でパルスするコラーゲンに侵入する。感染の4時間〜6時間後、コラーゲンマトリクスを消化し、APCを放出する。]
[0088] それから、IS由来のこれらの感染APCは、該APCが自己PBMCと共に添加される疾患モジュール(LTE)に移され、コラーゲンに同時に存在し得る(co-cast)。コラーゲンでのリンパ球が病原体に対する免疫応答を高める。このシステムは疾患の進行を研究するために様々な期間インキュベートすることができる。疾患兆候が例えば重度の壊死性炎症の発症、感染及び炎症の結果としてアポトーシスを受けるマクロファージ及び樹状細胞、並びに感染を封じ込めるために免疫応答を高める宿主免疫系に関して観察される。感染の封じ込めは細菌数の低減として反映される。宿主のマクロファージ、DC及びリンパ球は感染に応じて炎症誘発性サイトカイン及びケモカイン及び抗体を分泌する。]
[0089] 疾患の発症のパラメータを以下の通りに求める。疾患モジュール由来のコラーゲン構築物をパラフィン包埋した後、切片化し、顕微鏡により炎症性病変を調べる。コラーゲンをコラーゲナーゼで消化し、細胞を放出させ、それから該細胞をフローサイトメトリによりアポトーシス及び他の細胞発現マーカーに関してアッセイする。これは宿主細胞死及び感染による免疫細胞の活性化プロファイルに関する情報を提供する。コラーゲナーゼ消化(digest)のアリコートを栄養寒天プレート上に平板培養し、宿主細胞におけるコロニー形成単位(cfu)と、それによる生存率及び病原体の繁殖と感染の封じ込めとを求める。培養上清をサイトカイン及び抗体分泌に関してアッセイする。サイトカインプロファイルを例えばBioplexアッセイにより求め、抗体応答を様々な時点で例えばELISAにより評価する。例えばIL−6、MCP−1、IL−12p35、IFNγ及びTNFαのレベルを求めることができる。IgM及びIgG抗体のELISAを、培養上清を使用して実施し、感染に応じた抗体産生のレベルを求める。]
[0090] 本発明のさらなる実施形態では、感染性疾患モデルを、曝露前及び/又は曝露後の感染を治癒し得る潜在的な治療的方法を試験するのに使用する。このモデルは、細菌の病原性に関連する基本的な課題に対処するために使用することもできる。]
[0091] VSシステムを使用して、様々なTLRアゴニスト及びワクチンアジュバントの効果を調べた。ペスト菌に感染したヒト単球が細胞表面TLR9を発現すると共に、樹状細胞に分化することが報告されている(Shaikh 2004)。CpG及び/又は他のアジュバントの効果、並びにAPCとして及び感染を封じ込める能力に対するDC機能を調節する際のペスト菌感染を、24時間〜48時間TLRアゴニストで感染モジュールを前処理した後、4時間〜6時間病原体を導入することにより本発明のモデル系で容易に試験することができる。感染APCを感染モジュールから採取し、それから様々な期間疾患モジュールに添加する。疾患モジュール由来のコラーゲンマトリクスをコラーゲナーゼで消化する。例えばアジュバントにより与えられる保護を、コラーゲナーゼ消化物(上記のような)を平板培養すると共に、cfuの低減を推測することにより定量化することができる。]
[0092] サイトカインは感染の制御に重要な役割を果たす。外部のIFNγ及び/又はTNFα又はIL−12を感染モジュール由来のAPCと共に、様々な濃度で疾患モジュールに添加することができる。感染の制御を、例えば平板培養方法により並びに例えば培養上清中のサイトカイン及び抗体レベルを求めることによりcfuの低減に関して研究することができる。]
[0093] TTSS及びYopsは前で述べたようにペスト菌病原性に重要である。これらの抗原を感染モジュールに添加すると共に、罹患APCを疾患モジュールへと移し、例えば平板培養方法により例えばcfuの低減を測定することで感染を封じ込める能力を求めることによりそれらの効果を感染モジュールにおいて試験することができる。]
[0094] モノクローナル抗体がペスト菌に対して産生され、ペスト菌チャレンジに対してBalb/cマウスを保護することが報告されている(Eyles et al.(2007)Vaccine 25, 7301-6)。保護的又は治療的抗体を疾患モジュールシステムに添加することにより、これらのモノクローナル抗体の保護効果を該疾患モジュールシステムで試験することができる。そのため保護抗体及び自己PBMCと共に感染モジュール由来の感染APCは、様々な期間疾患モジュールにおいて同時に存在し得る。例えば平板培養方法による例えばcfuの低減により、抗体による保護を求める。さらに、感染に応じて産生される、疾患モジュールにおける培養上清中の抗体を新規の感染セットに添加することができ、例えば平板培養方法を使用して例えばcfuの低減により、与えられる任意の保護を求めることができる。]
[0095] 本発明の別の実施形態において、ワクチン候補物質、例えばF1又はV抗原を使用するものを、疾患モジュールにin vitro免疫化リンパ球を入れることにより有効性に関して試験することができる。最初に、ワクチンをVSモジュールに入れ、APCをプライム化する。それから、これらのAPCをLTEモジュールに入れ、リンパ球をプライム化させ、それを疾患モジュールで使用する。これらのin vitro免疫化リンパ球を感染APC(別の感染モジュールにおいてペスト菌による並行感染から得られた)と共に疾患モジュールに入れる。全体を通して自己PBMCを使用する。それから例えば平板培養方法による例えばcfuの低減で、与えられる保護を定量化することができる。]
[0096] 実施例17
バークホルデリア属モデル。本発明の一実施形態は、ヒト白血球の多次元調査(interrogation)に基づく、人工免疫系を使用した鼻疽菌のin vitro疾患モデルを含む。人工免疫系は、ヒト集団サブグループ(遺伝的多様性、HLAハプロタイプ、年齢、性別)に対する免疫療法の効果に関する情報を迅速に与えることができる。]
[0097] 本発明の人工免疫系の感染モジュール(IS)において、マクロファージを病原体に感染させる(ISモジュール)。疾患モジュールは感染マクロファージが病原体を局所リンパ節に輸送させるプロセスをモデル化する。この疾患モジュールでは、リンパ球が活性化/プライム化すると共に、病原体が繁殖する。このLTEモジュールはin vitro系の疾患モジュールである。細菌は他の器官に移動する前にリンパ節で複製する。人工免疫系は様々なモジュールがプラグ・アンド・プレイ免疫学構築物であるという点で柔軟である。この特徴は本発明の一実施形態でバークホルデリア属の感染性疾患モデルの感染及び疾患モジュールを含んで用いられる。]
[0098] 感染部位モジュールの調製はコラーゲンマトリクス上の内皮細胞の単層の成長を含む。PBMCを内皮細胞層の上部に添加する。単球は内皮を通って少数のT細胞及びB細胞(約5%〜10%)と共にコラーゲンマトリクスに選択的に浸出する。PBMCにおける単球は、内皮を横断するにつれて、広範な表現型のAPCに分化する。単球によっては、成熟及び未成熟の樹状細胞(DC)に分化した後、コラーゲンから内皮を通って逆移動するものもあれば、他の単球はマクロファージに分化し、これらの内皮下細胞がコラーゲンマトリクスに残る。このシステムはin vivo分化プロセスを模倣し、ワクチン接種部位に侵入する抗原提示細胞(例えば単球)が内皮を横断して組織に入るにつれて、分化シグナルを受ける。]
[0099] ISでは、内皮細胞の上部に様々な感染多重度(MOI)で鼻疽菌を添加することにより細胞を感染させる。鼻疽菌は、内皮を横断し、病原体がマクロファージに感染すると共に、また樹状細胞をペスト菌抗原でパルスするコラーゲンに侵入する。感染の4時間〜6時間後、コラーゲンマトリクスを消化し、APCを放出する。]
[0100] それから、IS由来のこれらの感染APCを該APCが自己PBMCと共に添加される疾患モジュールに移し、コラーゲンに同時に存在し得る。コラーゲンでのリンパ球が病原体に対する免疫応答を高める。このシステムは疾患の進行を研究するために様々な期間インキュベートすることができる。疾患兆候が測定可能な事象又はパラメータ、例えば感染及び炎症の結果としてのアポトーシスによる壊死病変、マクロファージ及びリンパ球の死滅の発生、並びに感染を封じ込めるための宿主免疫応答に関して観察される。感染の封じ込めは細菌数の低減として反映される。宿主のマクロファージ、DC及びリンパ球は感染に応じて炎症誘発性サイトカイン及びケモカイン及び抗体を分泌し、これらを評価することもできる。]
[0101] 疾患の発症のパラメータを求める。疾患モジュール由来のコラーゲン構築物をパラフィン包埋した後、切片化し、顕微鏡により壊死病変を可視化する。コラーゲンをコラーゲナーゼで消化し、細胞を放出させ、それから該細胞をフローサイトメトリによりアポトーシス及び他の細胞発現マーカーに関してアッセイする。これは宿主細胞死及び感染による免疫細胞の活性化プロファイルに関する情報を提供する。コラーゲナーゼ消化物のアリコートをミューラー・ヒントン寒天プレート上に平板培養し、宿主細胞におけるコロニー形成単位(cfu)と、それによる生存率及び病原体の繁殖と感染の封じ込めとを求める。培養上清をサイトカイン及び抗体分泌に関してアッセイする。サイトカインプロファイルを例えばBioplexアッセイにより求め、抗体応答を様々な時点で例えばELISAにより調べることができる。例えばIL−6、MCP−1、IL−12p35、IFNγ、IL−18、IP−10及びTNFαのレベルを求めることができる。IgM及びIgG抗体のELISAを、培養上清を使用して実施し、感染に応じた抗体産生のレベルを求めることができる。]
[0102] 本発明の別の実施形態では、感染性疾患モデルを、曝露前及び/又は曝露後の感染を治癒し得る潜在的な治療法を試験するのに使用することができる。このモデルは、細菌の病原性に関連する基本的な課題に対処するためにも使用することができる。]
[0103] 様々な種のTLRアゴニスト及びワクチンアジュバントによる研究を、VSシステムを使用して実施した。CpG及び/又は他のアジュバントの保護効果は、24時間〜48時間TLRアゴニストで感染モジュールを前処理した後、4時間〜6時間病原体を導入することにより容易に試験することができる。感染APCを感染モジュールから採取し、それから様々な期間疾患モジュールに添加する。疾患モジュール由来のコラーゲンマトリクスをコラーゲナーゼで消化することができる。アジュバントにより与えられる保護を、コラーゲナーゼ消化物(上記のような)を平板培養すると共に、cfuの低減を推測することにより定量化する。]
[0104] I型サイトカインが初期感染の制御に重要であるので(上記)、外部のIFNγ及び/又はIL−12を感染モジュール由来のAPCと共に、様々な濃度で疾患モジュールに添加する。感染の制御を、例えば平板培養方法、及びまた培養上清中で求められるサイトカイン及び抗体のレベルによりcfuの低減に関して研究する。]
[0105] 動物型のTTSSは鼻疽菌病原性に重要である。RD01及びRD02突然変異株を使用することにより、この病原性を感染モジュール及び疾患モジュールで試験することができる(Ribot & Ulrich(2006)Infect. Immun. 74, 4349-53)。]
[0106] モノクローナル抗体が鼻疽菌に対して産生され、鼻疽菌のエアロゾルチャレンジに対してBalb/cマウスを受動的に保護することが報告されている(Trevino et al.(2006)Infect. Immun. 74, 1958-61)。保護的又は治療的抗体を疾患モジュールシステムに添加することにより、これらのモノクローナル抗体の保護効果を該疾患モジュールシステムで試験することができる。保護抗体及び自己PBMCと共に感染モジュール由来の感染APCは、様々な期間疾患モジュールにおいて同時に存在し得る。例えば平板培養方法によるcfuの低減で、抗体による保護を求める。さらに、感染に応じて産生される、疾患モジュールにおける培養上清中の抗体を新規の感染セットに添加することができ、例えば平板培養方法によるcfuの低減に関して、与えられる任意の保護を求めることができる。]
[0107] ワクチン候補物質を、疾患モジュールにin vitro免疫化リンパ球を入れることにより疾患モデルにおいて試験することができる。最初に、ワクチンをVSモジュールに入れ、APCをプライム化する。それから、これらのAPCをLTEモジュールに入れ、リンパ球をプライム化し、それを疾患モジュールで使用する。これらのin vitro免疫化リンパ球を感染APC(ISモジュールにおいて鼻疽菌による並行感染から得られた)と共に疾患モジュールに入れる。全体を通して自己PBMCを使用する。例えば平板培養方法による細菌cfuの低減で、与えられる保護を定量化する。]
[0108] 本発明の別の実施形態において、疾患モデルを、鼻疽又は類鼻疽、鼻疽菌及び類鼻疽菌により引き起こされる疾患に対する有効性に関して新規の薬物、ワクチン又は治療的候補物質を試験するのに使用することができる。]
[0109] 実施例18
HIVモデル。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はAIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こすウイルスである。in vivoでは、HIV−1をDCに感染させ、該DCをリンパ節へと移動し、そこでウイルスがCD4+T細胞に感染する。そのため、リンパ節はウイルス産生の主要部位となる。本発明の実施形態では、このプロセスの段階を人工免疫系のモジュールによりモデル化する。]
[0110] 本発明の一実施形態において、HIVワクチン候補物質を試験する。例として、HIV gp120ワクチン又はgp140ワクチンを評価することができる。HIV gp120/gp140特異的応答を、ヒト血液ドナー由来のPBMCを使用して評価する。初めに、候補ワクチンをVSモジュールに入れ、APCをプライム化する。それから、これらのプライム化APCをLTEモジュールに入れ、リンパ球をプライム化する。これらのin vitro免疫化リンパ球及びLTEで生成した抗体を感染APC(感染部位モジュールにおいてHIVによる並行感染から得られた)と共に疾患モジュールに入れる。全体を通して自己PBMCを使用する。例えばウイルス複製の阻害又は細胞溶解を評価することにより、与えられる任意の保護を定量化する。]
[0111] 感染部位(IS)モジュールの調製は、コラーゲンマトリクス上で内皮細胞の単層を成長させることを含む。PBMCを内皮細胞層の上部に添加する。単球は、内皮を通って少数のT細胞及びB細胞(約5%〜10%)と共にコラーゲンマトリクスに選択的に浸出する。PBMCにおける単球は、内皮を横断するにつれて、広範な表現型のAPCに分化する。単球によっては、成熟及び未成熟の樹状細胞(DC)に分化し、コラーゲンから内皮を通って逆移動するものもあれば、他の単球はマクロファージに分化し、これらの内皮下細胞がコラーゲンマトリクスに残る。このシステムが、in vivo分化プロセスを模倣し、感染部位に侵入する抗原提示細胞(例えば単球)は内皮を横断して組織に入るにつれて、分化シグナルを受ける。この方法は、PBMCからDC及びマクロファージを生成する、広範に使用されるサイトカイン誘導性(例えばGM−CSF、IL−4、MCSF)方法よりも優れている。]
[0112] 本発明の一実施形態において、感染性ビリオンを内皮細胞の上部に添加することができる。HIVが抗原提示細胞に感染する。このため、本発明の人工免疫系のISモジュールは感染のin vivoシナリオを厳密に模倣し、内皮細胞、DC、マクロファージ及びリンパ球を含む、感染プロセスに関与する構成要素全てがモデルシステムに存在する。それから、感染APCをLTEモジュールに移動することができる。]
[0113] このシステムを様々な期間インキュベートし、疾患の進行を研究することができる。サイトカインプロファイルを、Bioplexアッセイを使用して評価することができ、抗体応答を、培養上清を使用して様々な時点でELISAにより評価することができる。例えば、IFNα、IFN−γ、IL−18、IL−6、MCP−1、MIP−1a、MIP−1b、IFN−β及びTNF−αのレベルを求める。]
[0114] HIVワクチンの有効性を評価するために、一連のヒト血液ドナー由来のPBMC細胞をVSモジュール及び単純なコラーゲン3Dマトリクスにおいて様々な濃度(例えば約1μg/mL〜50μg/mL)のHIVワクチンと共に様々な期間、インキュベートする。ワクチン製剤は、感染性ビリオンと同様に単球により取り込まれ、これによりワクチン抗原に対する宿主免疫応答が確立される。それから、試験ワクチンに対するこの宿主免疫応答を、例えば、Bioplex 22−サイトカインキットを使用して、例えばサイトカイン応答に関して評価する。例えば、IL−6、MCP−1、MIP−1a、MIP−1b、IFNβ、IFNγ、IL−18及びTNFαのレベルを求める。IgM及びIgG抗体のELISAを培養上清で実施し、試験ワクチンに応じた抗体産生のレベルを求める。LTEがコラーゲンマトリクスを含む場合、コラーゲン構築物をコラーゲナーゼで消化し、細胞を放出して、感染に応じた、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ及び樹状細胞の活性化及びアポトーシス状態をFACS解析により求める。様々なウイルスタンパク質、ペプチド及びタンパク質の組合せを発現するベクターを使用する実験を、ウイルスタンパク質に対する宿主免疫応答における差異及び変化を評価するのにも使用することができる。]
[0115] ISでは、内皮細胞の上部に様々な感染多重度(MOI)でHIVを添加することによりPBMCを感染させる。ISにおいてHIVに抗原提示細胞が感染する。次いで、これらの感染APCを、該APCが自己PBMCと共に添加される上記の疾患モジュール/LTEモジュールに移し、コラーゲンに同時に存在し得る。リンパ球が病原体に対する免疫応答を高める。このシステムは疾患の進行を研究するために様々な期間インキュベートすることができる。疾患兆候が測定可能な事象又はパラメータ、マクロファージ及びリンパ球の死滅の発生、並びに感染を封じ込めるための宿主免疫応答に関して観察される。感染の封じ込めはウイルス数の低減として反映される。宿主のマクロファージ、DC及びリンパ球は感染に応じて炎症誘発性サイトカイン及びケモカイン及び抗体を分泌し、培養上清においてこれらを評価することもできる。]
[0116] サイトカインプロファイルを、例えばBioplexアッセイにより求めると共に、抗体応答を様々な時点で例えばELISAにより調べることができる。例えば、IL−6、MCP−1、IL−12p35、IFNγ、IL−18、IP−10及びTNFαのレベルを求めることができる。IgM及びIgG抗体のELISAを、培養上清を使用して実施し、感染に応じた抗体産生のレベルを求めることができる。]
[0117] 本発明の一実施形態において、疾患細胞(例えばHIV感染APC)を、VS/LTE「アウトプット」を移動させること(図11)又は疾患細胞(例えばHIV感染APC)をLTEに置くこと(図12)のいずれかによりVS/LTE組合せ由来の「アウトプット」に曝し、その両方の場合で疾患細胞に対する効果を評価する。疾患細胞によるLTE構成要素に対する効果を、疾患細胞に対する任意の効果と同様に評価することができる。]
[0118] 本発明の一実施形態において、IS由来細胞をナイーブ(非感染)LTEに置く前に感染させ、LTEの細胞に対する効果を評価する。これは、リンパ節(又はLTE)へと移動する前に末梢で感染状態になる細胞をモデル化する。疾患細胞によるLTE構成要素に対する効果を、疾患細胞に対する効果と同様に評価することができる。]
[0119] 本発明の別の実施形態において、ナイーブ(非感染)LTEを感染させ、LTEの細胞に対する効果を評価する。]
[0120] 上述の明細書は例示を目的として与えられる実施例と共に本発明の原理を教示するが、当業者は、本開示を読むことによって、実際の本発明の範囲を逸脱することなく、形態及び詳細を様々に変更することができることを理解するであろう。]
[0121] 書籍、マニュアル、雑誌、要約書、ポスター、ウェブサイト、文献及び任意の種類の他の刊行物を含む(がこれらに限定されない)本明細書中で言及又は参照されるあらゆる資料はその全体が参照により本明細書中で援用される。]
权利要求:

請求項1
動物被験体に投与せずに作用因子(agent)の評価を可能にする人工免疫系であって、リンパ系組織を含む二次元又は三次元マトリクスと、PBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である、疾患細胞と、を含む細胞培養物を含む、人工免疫系。
請求項2
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項3
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞である、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項4
前記疾患細胞が細菌に感染した細胞である、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項5
前記疾患細胞がウイルスに感染した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項6
前記疾患細胞が、後にinvitroでウイルスに感染させる、非感染の血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項7
前記疾患細胞が細菌に感染した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項8
前記疾患細胞が自己免疫疾患に罹患した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項9
前記疾患細胞が、後にinvitroで細菌に感染させる、非感染の血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項10
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質(biologics)及び化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項11
前記作用因子がワクチンである、請求項1に記載の人工免疫系。
請求項12
動物被験体に投与せずに作用因子の評価を可能にする人工免疫系であって、リンパ系組織を含む二次元又は三次元マトリクスと、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスと、PBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である、疾患細胞と、を含む細胞培養物を含む、人工免疫系。
請求項13
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項14
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞である、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項15
前記疾患細胞が細菌に感染した細胞である、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項16
前記疾患細胞がウイルスに感染した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項17
前記疾患細胞が、後にinvitroでウイルスに感染させる、非感染の血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項18
前記疾患細胞が細菌に感染した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項19
前記疾患細胞が自己免疫疾患に罹患した血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項20
前記疾患細胞が、後にinvitroで細菌に感染させる、非感染の血液ドナーに由来するPBMCを含む、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項21
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項22
前記作用因子がワクチンである、請求項12に記載の人工免疫系。
請求項23
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及び疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項24
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及びリンパ系組織に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項25
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及びリンパ系組織の細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項26
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む三次元マトリクスと同時培養すること、疾患細胞を前記同時培養物に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する前記作用因子の効果を評価すること、を含む、方法。
請求項27
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
請求項28
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
請求項29
前記作用因子がワクチンである、請求項26に記載の方法。
請求項30
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスと同時培養すること、疾患細胞を前記同時培養物に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記同時培養物の細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項31
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
請求項32
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
請求項33
前記作用因子がワクチンである、請求項30に記載の方法。
請求項34
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
請求項35
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
請求項36
前記作用因子がワクチンである、請求項30に記載の方法。
請求項37
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む三次元マトリクスと同時培養すること、前記同時培養物から得られた培養培地を疾患細胞に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項38
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項37に記載の方法。
請求項39
前記作用因子がワクチンである、請求項37に記載の方法。
請求項40
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項37に記載の方法。
請求項41
作用因子に対する疾患動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスと同時培養すること、前記同時培養物から得られた培養培地を疾患細胞に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項42
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
請求項43
前記作用因子がワクチンである、請求項41に記載の方法。
請求項44
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
請求項45
作用因子に対する動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及び前記疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項46
作用因子に対する動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及び前記リンパ系組織に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項47
作用因子に対する動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、及びリンパ系組織の細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項48
作用因子に対する動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む三次元マトリクスと同時培養すること、疾患細胞を前記同時培養物に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する前記作用因子の効果を評価すること、を含む、方法。
請求項49
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項48に記載の方法。
請求項50
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項48に記載の方法。
請求項51
前記作用因子がワクチンである、請求項48に記載の方法。
請求項52
作用因子に対する動物の潜在的反応を評価する方法であって、作用因子を、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスと同時培養すること、疾患細胞を前記同時培養物に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記同時培養物の細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項53
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
請求項54
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
請求項55
前記作用因子がワクチンである、請求項52に記載の方法。
請求項56
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
請求項57
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
請求項58
前記作用因子がワクチンである、請求項52に記載の方法。
請求項59
作用因子に対する動物の潜在反応を評価する方法であって、作用因子を請求項1又は12に記載の人工免疫系に投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む三次元マトリクスと同時培養すること、前記同時培養物から得られた培養培地を疾患細胞に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項60
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項59に記載の方法。
請求項61
前記作用因子がワクチンである、請求項59に記載の方法。
請求項62
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項59に記載の方法。
請求項63
作用因子に対する動物の潜在反応を評価する方法であって、作用因子を、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスに投与すること、上皮細胞及び/又は内皮細胞を含む前記三次元マトリクスを、リンパ系組織を含む二次元マトリクス又は三次元マトリクスと同時培養すること、前記同時培養物から得られた培養培地を疾患細胞に添加すること(該疾患細胞がPBMC、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗原提示細胞から成る群から選択される免疫系細胞である)、及び前記疾患細胞に対する効果を評価すること、を含む、方法。
請求項64
前記作用因子がワクチン、アジュバント、免疫療法候補薬剤、化粧品、薬物、生物学物質及び化合物から成る群から選択される、請求項63に記載の方法。
請求項65
前記作用因子がワクチンである、請求項63に記載の方法。
請求項66
前記疾患細胞がウイルスに感染した細胞、細菌に感染した細胞、腫瘍細胞及び自己免疫疾患罹患細胞から成る群から選択される、請求項63に記載の方法。
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